2008年03月26日
花筏
こんばんは。昨日に続き今日も絶好の遠足日和でしたね~!
仕事でやや歩く時間が長かったのですが、上着を脱いでも
汗だくになってしまいました。桜も日当たりのよいところでは
もう満開っぽいですね。そういえばずっと前に読んださだまさし
さんの本で、桜前線のことが書いてあったのを思い出しました。
なんでも日本列島を南から北上する桜前線は、一日約20キロの
スピードで移動するそうなんです。じゃあと細かく計算してみると
1秒間に約23センチちょっとの速さになると。つまり、
春というのは、女性の足の大きさほどの速さで毎秒、しゃなり
しゃなりと近づいてくるものなんだそうです。こんな譬え話は
なぜか覚えやすいし面白いですね!
あと川の水面に桜の花弁がぱーっと浮いて、絨毯みたいに流れていく
様子のことを、これが洒落ていて「花筏(はないかだ)」と言う
らしいのです。もうすぐいろいろな名所でこの「花筏」が見られます、
これもまた楽しみですね~!
さて2年ほど前から村上春樹さんが取り組まれ、中央公論新社
から刊行しているレイモンド・カーヴァー全集のひとつが
今月発表され、大ファンの私も早速手に入れました。
解説によれば全8巻のうち7巻目となるそうで、今回は
未発表となるデビュー初期の習作短編や詩とエッセイ、書評が
収められています。そのうち特に印象に残った箇所は、日常に
おいて書いたり読んだりするというごく当たり前の行為が、
私たちにどんな変化や影響を及ぼすのかを考察したくだりで、
心にずっしりと残ったので何度も読み返してしまいました。
「作家にとっても読者にとっても同じことだが、もし運が良ければ、
我々は一篇の短篇小説を書き終え、あるいは読み終え、そこで
しばしのあいだ静かに佇むことになるだろう。理想を言うならば、
我々はそこで何をするともなく、自分がたった今書き上げたり
読んだりしたものに対して、深く思いを巡らせることになる。
あるいは我々の心なり知性なりは、もといた場所から一目盛り
くらいは移動させられているかもしれない。それから我々は、
作家にせよ読者にせよ、もう一度静かにしっかり呼吸をして、
普段の自分に戻っていくだろう。立ち上がり、チェーホフの
登場人物の言葉を借りれば『暖かい血と神経からなる身体で』
次なる営みに移るだろう。
生きることだ。それは常に生きることなのだ。」
レイモンド・カーヴァー「英雄を謳うまい」中央公論新社
読み手としても書き手としても、思慮深く用いられた言葉に
眼を閉じてさまざま想いをこらし、またふだんの日常に戻る、
その繰り返しがまさに「生きること」なのだとは・・。
慎重に誠実に、正確な言葉を重ね続けた芸術家カーヴァー
ならではの至言だと思いました。
それではまた、おやすみなさいzz...
仕事でやや歩く時間が長かったのですが、上着を脱いでも
汗だくになってしまいました。桜も日当たりのよいところでは
もう満開っぽいですね。そういえばずっと前に読んださだまさし
さんの本で、桜前線のことが書いてあったのを思い出しました。
なんでも日本列島を南から北上する桜前線は、一日約20キロの
スピードで移動するそうなんです。じゃあと細かく計算してみると
1秒間に約23センチちょっとの速さになると。つまり、
春というのは、女性の足の大きさほどの速さで毎秒、しゃなり
しゃなりと近づいてくるものなんだそうです。こんな譬え話は
なぜか覚えやすいし面白いですね!
あと川の水面に桜の花弁がぱーっと浮いて、絨毯みたいに流れていく
様子のことを、これが洒落ていて「花筏(はないかだ)」と言う
らしいのです。もうすぐいろいろな名所でこの「花筏」が見られます、
これもまた楽しみですね~!
さて2年ほど前から村上春樹さんが取り組まれ、中央公論新社
から刊行しているレイモンド・カーヴァー全集のひとつが
今月発表され、大ファンの私も早速手に入れました。
解説によれば全8巻のうち7巻目となるそうで、今回は
未発表となるデビュー初期の習作短編や詩とエッセイ、書評が
収められています。そのうち特に印象に残った箇所は、日常に
おいて書いたり読んだりするというごく当たり前の行為が、
私たちにどんな変化や影響を及ぼすのかを考察したくだりで、
心にずっしりと残ったので何度も読み返してしまいました。
「作家にとっても読者にとっても同じことだが、もし運が良ければ、
我々は一篇の短篇小説を書き終え、あるいは読み終え、そこで
しばしのあいだ静かに佇むことになるだろう。理想を言うならば、
我々はそこで何をするともなく、自分がたった今書き上げたり
読んだりしたものに対して、深く思いを巡らせることになる。
あるいは我々の心なり知性なりは、もといた場所から一目盛り
くらいは移動させられているかもしれない。それから我々は、
作家にせよ読者にせよ、もう一度静かにしっかり呼吸をして、
普段の自分に戻っていくだろう。立ち上がり、チェーホフの
登場人物の言葉を借りれば『暖かい血と神経からなる身体で』
次なる営みに移るだろう。
生きることだ。それは常に生きることなのだ。」
レイモンド・カーヴァー「英雄を謳うまい」中央公論新社
読み手としても書き手としても、思慮深く用いられた言葉に
眼を閉じてさまざま想いをこらし、またふだんの日常に戻る、
その繰り返しがまさに「生きること」なのだとは・・。
慎重に誠実に、正確な言葉を重ね続けた芸術家カーヴァー
ならではの至言だと思いました。
それではまた、おやすみなさいzz...