2008年09月29日
つながっている
こんばんは。東京は一日じゅう雨が降って、ほんと寒かったですね。
扇風機もそろそろ物置部屋行きかな。。家で使っている扇風機は、
そういえば大昔高校生のころ父親が買ってくれたずいぶん古いもの
でして、ざっと20年以上です。がまだまだ丈夫で静かに動いて
くれています。すごいですね~さすが松下製です。
最近、ほぼ毎日10キロ程度走っているのですが、体調がすこぶる
いいんですよね。先週火曜にハーフ走った翌日からも、筋肉痛や
関節痛が全くなく、これは春からのトレーニングの成果が徐々に
出てきたのでは・・と喜んでいます!特に昨夜のランでは、
久しぶりにアシックスを履いて走ったせいか、足裏で感じる路面の
感触がとても心地よく、適度に柔らかく踏みしめる感じで上手く
走れたと思います。
しかしトレーニングをいい感じで重ねているせいか、ご飯がすごく
美味しくてたくさん食べすぎてしまうのと、夜12時まえに急に
眠くなって、本を読みながらすぐに落ちてしまうのがちょっと
なんですけどね。
そういえば日曜のベルリンマラソン、ゲブレシラシエ選手の世界
新記録更新で2時間3分台とは驚きましたね~。123分を
42キロで割ると、なんとキロ3分切るペースですよ・・私1キロ
ですらムリです。。
さて昨日日曜は、予定していた葛飾区秋季シングルス大会予選に
出場してきましたよ。3つ勝てば本戦ベスト32に駒を進められます。
この大会には、はるさんのサークルメンバーがほぼ参戦するので、
観て応援するのもすごく楽しい一日となりました。
まずは私の結果から行くと、40代半ばのベテランプレイヤーに
1-6で負け、あっさり一回戦敗退でした・・残念です。
サービスこそ全てセカンドサーブの方でしたが、スライス主体の
つなぎストロークが抜群に巧く、どこに打っても打っても必ず
深く返ってきて、私が我慢できずに攻めてミスしてしまうパターンに
見事ハマってしまいました。徹底的に相手バック側に集めて、
しびれを切らしてストレートなど相手が攻めてミスしてくれる、
というのは私の数少ない作戦なのですが、逆にそれを相手にやられて
敗戦。。途中近くで応援してくれていたとれっくさんから
「悪くない、大丈夫」と励ましてもらったり、もっとボレーで
勝負していけば良かったかもね、などアドバイスをしてくれたりと、
仲間の存在が今回もとてもありがたく感じました。ここ最近は
ランニングの面白さにちょっと傾きがちでしたが、今週はAIG
オープン、来月は全日本選手権もあることだし、トッププロの技に
触れつつ、自分のテニスをもっともっと上達させたい!と思いました。
最後に先日読んだ雑誌から、心にのこった記事をひとつ。青森
津軽平野にある宿泊施設「森のイスキア」を主宰する佐藤初女
(はつめ)さんのお話です。
生きることに疲れ、悩み苦しむ多くの人が訪れるこの施設で、
彼女は心を尽くして訪問者のためにじっくりと料理を作り、共に
食べて、その人の話をひたすら受け止める。そうしてこの半世紀
近く、心の荒みを、苦しみを吐露する人々に毎日毎日向き合い
続けている。
「話を受け止めること、料理をつくること。そこから相手に伝わる
のは、『あなたのために』という母的な愛情ではないだろうか。
心を病む人々は精神的な孤独の中で絶望感を募らせていく。しかし
人間は『誰かとつながっていたい』という根源的な想いを抱いている。
それは母なるものに帰りたいという欲求でもあると思う。
(中略)
話を受け止める。心を尽くして料理を作り、共に食べる。その
プロセスからつながっていることが伝わり、じっくり待てば、
人は必ず生き返る。それが、佐藤が体験から得た確信なのだと思う。
その行動から周囲が信念を感じ取り、次の時代へとつながっていく。
親や兄弟、友や先生や先輩、多くの人とかかわって自分がつくられる。
しかし今、人間とはそんな社会性のある存在だということが、
忘れられてしまっている。誰しも、誰かに愛されたのに、愛する
ことを忘れてしまっている。自分中心で、そんなことは面倒くさく
なってしまっている。でも、つながっている誰かがいたから、
自分自身もあるはずだ。自分にはつながっている人がいる、
そう気づかせてあげることが愛なのかもしれない。」
雑誌「WEDGE」10月号・P122~124
学生時代、登山を終えて無事下山しているとき、ふと麓の民家に
灯る明かりをごく遠くにも見つけると、それだけで何故かすごく
ホッと癒された思い出があります。寂しく弱い自分の心が、
無自覚にも見知らぬ人の生活のにおいを見つけ想像して、
なんとか他人と「つながっていたい」気持ちになったのかも、
と思います。
「つながっている人がここにもいるよ、と伝えてあげることも
ひとつの愛なのだ」
ずっと憶えていたい言葉だと思いました。
それではまた、おやすみなさいzz...
扇風機もそろそろ物置部屋行きかな。。家で使っている扇風機は、
そういえば大昔高校生のころ父親が買ってくれたずいぶん古いもの
でして、ざっと20年以上です。がまだまだ丈夫で静かに動いて
くれています。すごいですね~さすが松下製です。
最近、ほぼ毎日10キロ程度走っているのですが、体調がすこぶる
いいんですよね。先週火曜にハーフ走った翌日からも、筋肉痛や
関節痛が全くなく、これは春からのトレーニングの成果が徐々に
出てきたのでは・・と喜んでいます!特に昨夜のランでは、
久しぶりにアシックスを履いて走ったせいか、足裏で感じる路面の
感触がとても心地よく、適度に柔らかく踏みしめる感じで上手く
走れたと思います。
しかしトレーニングをいい感じで重ねているせいか、ご飯がすごく
美味しくてたくさん食べすぎてしまうのと、夜12時まえに急に
眠くなって、本を読みながらすぐに落ちてしまうのがちょっと
なんですけどね。
そういえば日曜のベルリンマラソン、ゲブレシラシエ選手の世界
新記録更新で2時間3分台とは驚きましたね~。123分を
42キロで割ると、なんとキロ3分切るペースですよ・・私1キロ
ですらムリです。。
さて昨日日曜は、予定していた葛飾区秋季シングルス大会予選に
出場してきましたよ。3つ勝てば本戦ベスト32に駒を進められます。
この大会には、はるさんのサークルメンバーがほぼ参戦するので、
観て応援するのもすごく楽しい一日となりました。
まずは私の結果から行くと、40代半ばのベテランプレイヤーに
1-6で負け、あっさり一回戦敗退でした・・残念です。
サービスこそ全てセカンドサーブの方でしたが、スライス主体の
つなぎストロークが抜群に巧く、どこに打っても打っても必ず
深く返ってきて、私が我慢できずに攻めてミスしてしまうパターンに
見事ハマってしまいました。徹底的に相手バック側に集めて、
しびれを切らしてストレートなど相手が攻めてミスしてくれる、
というのは私の数少ない作戦なのですが、逆にそれを相手にやられて
敗戦。。途中近くで応援してくれていたとれっくさんから
「悪くない、大丈夫」と励ましてもらったり、もっとボレーで
勝負していけば良かったかもね、などアドバイスをしてくれたりと、
仲間の存在が今回もとてもありがたく感じました。ここ最近は
ランニングの面白さにちょっと傾きがちでしたが、今週はAIG
オープン、来月は全日本選手権もあることだし、トッププロの技に
触れつつ、自分のテニスをもっともっと上達させたい!と思いました。
最後に先日読んだ雑誌から、心にのこった記事をひとつ。青森
津軽平野にある宿泊施設「森のイスキア」を主宰する佐藤初女
(はつめ)さんのお話です。
生きることに疲れ、悩み苦しむ多くの人が訪れるこの施設で、
彼女は心を尽くして訪問者のためにじっくりと料理を作り、共に
食べて、その人の話をひたすら受け止める。そうしてこの半世紀
近く、心の荒みを、苦しみを吐露する人々に毎日毎日向き合い
続けている。
「話を受け止めること、料理をつくること。そこから相手に伝わる
のは、『あなたのために』という母的な愛情ではないだろうか。
心を病む人々は精神的な孤独の中で絶望感を募らせていく。しかし
人間は『誰かとつながっていたい』という根源的な想いを抱いている。
それは母なるものに帰りたいという欲求でもあると思う。
(中略)
話を受け止める。心を尽くして料理を作り、共に食べる。その
プロセスからつながっていることが伝わり、じっくり待てば、
人は必ず生き返る。それが、佐藤が体験から得た確信なのだと思う。
その行動から周囲が信念を感じ取り、次の時代へとつながっていく。
親や兄弟、友や先生や先輩、多くの人とかかわって自分がつくられる。
しかし今、人間とはそんな社会性のある存在だということが、
忘れられてしまっている。誰しも、誰かに愛されたのに、愛する
ことを忘れてしまっている。自分中心で、そんなことは面倒くさく
なってしまっている。でも、つながっている誰かがいたから、
自分自身もあるはずだ。自分にはつながっている人がいる、
そう気づかせてあげることが愛なのかもしれない。」
雑誌「WEDGE」10月号・P122~124
学生時代、登山を終えて無事下山しているとき、ふと麓の民家に
灯る明かりをごく遠くにも見つけると、それだけで何故かすごく
ホッと癒された思い出があります。寂しく弱い自分の心が、
無自覚にも見知らぬ人の生活のにおいを見つけ想像して、
なんとか他人と「つながっていたい」気持ちになったのかも、
と思います。
「つながっている人がここにもいるよ、と伝えてあげることも
ひとつの愛なのだ」
ずっと憶えていたい言葉だと思いました。
それではまた、おやすみなさいzz...
2008年09月23日
南房総市ロードレース千倉
こんばんは。今日はシーズン初ハーフとなる「第38回南房総市
ロードレース千倉」に出場してきました。日中の最高気温28℃、
時おり顔を出す強い日差しを受けるとかなり暑く感じる、やや
厳しい条件のなかでのレースとなりましたが、結果は自己ベストを
5分上回る1時間43分5秒(グロス)!初めてキロ5分を
ハーフで切ることができ、内心とても満足しています。
朝は肌寒いくらいの気温だったのですが、8時を回ったくらいから
太陽光線がじりじりと強くなってきたのと、潮風が今日は
殆どなくて、汗が飛ばないじっとりした湿気を感じました。
しかしアップダウンはゴール直前の千倉大橋以外は厳しいものは
ほぼなく、適度に折れ曲がった市街地~湾岸線を、景色を楽しみ
ながら走れて心地よいものでした。そういえば民家や商店、
片側車線規制でしばらく動かない対抗車線の自動車からも
「がんばって~!!」という声援をたくさん頂いてとても励みに
なりました。残り5キロ地点までは、今回こそはあたたかい
応援にお礼を示そう!と手を挙げて振って応えたら・・、
なんと何人もの方は、「お兄さんガンバ~」とか
「2269番ガンバレ~!」などと再度声をかけてくれて俄然
やる気になる、という有難いカタチになりました。これからも
声援には大きく応えることで、せっかくの応援の力をたくさん
分けていただこう!と思いました。
あと、このところあまり話す機会のなかった同じクラブのTBさんと
現地のレース受付で偶然会い、「あとで一緒に帰ろうか~」
という話になっていたので、キロ6分で行く予定という彼を
待ちながら、ゴール地点でしばらく走者を迎えていました。
皆さん一様に暑くて苦しそうな表情ではありましたが、多くの方が
「やった!ゴールできたぞー!」という満足感を湛えていらして、
これからもたとえ持ちタイムが速かろうと遅かろうと、こんな
気持ちを忘れてはいけないなーと思いつつ、「お疲れ様でした~」
と声かけしました。
ゴールのところで、走り終えた多くのランナーを出迎えて
声をかけること、これも今日初めて経験したのですが、いろいろ
考え感じることが多いと思うので、今後もやりたいと思います。
帰りはコーヒーの話がとても面白いTBさんと「海ほたる」で
遅い昼食後帰宅。7月の菅平合宿で同部屋になった彼と、久しぶりに
たくさん話せて楽しかった。
今回も備忘録としてキロ毎のラップを入れておきます。
5'03-4'18-4'38-4'55-4'40(5klap23'34)
4'41-4'33-4'36-4'51-4'50(23'31)
4'43-4'58-5'00-4'57-4'49(24'27)
4'52-5'00-5'11-5'25-5'21(25'49)
5'15 21.0975k=1'42"46(NET)
ラスト前4キロくらいがまたはっきり落ち込みますけれど、
なんとか5分30秒までに収まっているし、以前よりはずいぶん
良くなりました。これからは大角コーチに前に教わった
「スピード持久力」を付けるため、今キロ5分30秒ほどで
行っている距離走を、5分で25~30キロできるよう今後
意識して練習しようと思います。
さあ今度は、来月19日国立競技場での10Kレース、26日柏の手賀沼で
またハーフに出場します。
ではまた、おやすみなさいzz...
ロードレース千倉」に出場してきました。日中の最高気温28℃、
時おり顔を出す強い日差しを受けるとかなり暑く感じる、やや
厳しい条件のなかでのレースとなりましたが、結果は自己ベストを
5分上回る1時間43分5秒(グロス)!初めてキロ5分を
ハーフで切ることができ、内心とても満足しています。
朝は肌寒いくらいの気温だったのですが、8時を回ったくらいから
太陽光線がじりじりと強くなってきたのと、潮風が今日は
殆どなくて、汗が飛ばないじっとりした湿気を感じました。
しかしアップダウンはゴール直前の千倉大橋以外は厳しいものは
ほぼなく、適度に折れ曲がった市街地~湾岸線を、景色を楽しみ
ながら走れて心地よいものでした。そういえば民家や商店、
片側車線規制でしばらく動かない対抗車線の自動車からも
「がんばって~!!」という声援をたくさん頂いてとても励みに
なりました。残り5キロ地点までは、今回こそはあたたかい
応援にお礼を示そう!と手を挙げて振って応えたら・・、
なんと何人もの方は、「お兄さんガンバ~」とか
「2269番ガンバレ~!」などと再度声をかけてくれて俄然
やる気になる、という有難いカタチになりました。これからも
声援には大きく応えることで、せっかくの応援の力をたくさん
分けていただこう!と思いました。
あと、このところあまり話す機会のなかった同じクラブのTBさんと
現地のレース受付で偶然会い、「あとで一緒に帰ろうか~」
という話になっていたので、キロ6分で行く予定という彼を
待ちながら、ゴール地点でしばらく走者を迎えていました。
皆さん一様に暑くて苦しそうな表情ではありましたが、多くの方が
「やった!ゴールできたぞー!」という満足感を湛えていらして、
これからもたとえ持ちタイムが速かろうと遅かろうと、こんな
気持ちを忘れてはいけないなーと思いつつ、「お疲れ様でした~」
と声かけしました。
ゴールのところで、走り終えた多くのランナーを出迎えて
声をかけること、これも今日初めて経験したのですが、いろいろ
考え感じることが多いと思うので、今後もやりたいと思います。
帰りはコーヒーの話がとても面白いTBさんと「海ほたる」で
遅い昼食後帰宅。7月の菅平合宿で同部屋になった彼と、久しぶりに
たくさん話せて楽しかった。
今回も備忘録としてキロ毎のラップを入れておきます。
5'03-4'18-4'38-4'55-4'40(5klap23'34)
4'41-4'33-4'36-4'51-4'50(23'31)
4'43-4'58-5'00-4'57-4'49(24'27)
4'52-5'00-5'11-5'25-5'21(25'49)
5'15 21.0975k=1'42"46(NET)
ラスト前4キロくらいがまたはっきり落ち込みますけれど、
なんとか5分30秒までに収まっているし、以前よりはずいぶん
良くなりました。これからは大角コーチに前に教わった
「スピード持久力」を付けるため、今キロ5分30秒ほどで
行っている距離走を、5分で25~30キロできるよう今後
意識して練習しようと思います。
さあ今度は、来月19日国立競技場での10Kレース、26日柏の手賀沼で
またハーフに出場します。
ではまた、おやすみなさいzz...
2008年09月19日
ジュンパ・ラヒリ
こんばんは。関東は台風が近づいていますね。明日午前中までは
大雨になりそう。。
最近は日が沈むのもどんどん早くなっているし、朝晩はめっきり涼しく
なっていて、秋本番という感じがします。
過ごしやすい日が続いていたので、ジョグ距離も快調に目標のペースを
刻んでいますが、その順調なトレーニングのおかげで食欲もたくさん
あって、体重管理が思うように進んでいません・・。
今日はたまたま毎年恒例の人間ドッグ、注目の体脂肪率はどうかな~
と恐る恐る結果を見せてもらったら・・「19%」となっていました!
まずは大台の20を切って一安心ですが、このシーズンにあと2~3%
くらいは落としたいですね。。
先日ランニングクラブSWACの練習後、会員さん定例の飲み会に
お誘いいただき、多くのメンバーと初めてたくさん話ができました。
またクラブの比嘉コーチともしばらくお話させていただき、レース
でのペース配分だとか、ムリなく楽なフォーム作りなど、ランニング
の話は尽きないまますぐに時間切れとなってしまいとても残念。。
是非また次の機会にも聞かせてほしいです。
またこういった会合で各自それぞれの目標レースやタイム、悩み
などを話して教えあったり、全然関係のないバカ話で笑ったり
するのも、また明日から頑張ろうかな!と思えたりするので、
孤独で退屈になりがちなランニングですが、こういったことも
チームに所属して練習する大きなメリットの一つだと思います。
さて今週また面白い本を読みました!デビュー短編集「停電の
夜に」にてピューリツアー賞を拝したジュンパ・ラヒリの新作で、
短編集第二作となる「見知らぬ場所」です。インドベンガル地方の
出身でアメリカ国籍の女性作家なのですが、観察者としてあくまでも
静かな語り口に徹する作者の正確な筆致は、まるで早朝の波長の
長い太陽光のごとく私たちの心の深奥まで過不足なくきっちりと、
しかも温かく描き出すことに成功しています。
私たちの生きる世界は無限に広い反面、私たち自身の普段の生活は
一見地味で平凡な毎日がどこまでも続くように思えます。
はかない願望と落胆、希望的な信頼と思いがけない裏切が、
網目のように無数に交差する日々。
そういった普通の人々の、何の変哲もない暮らしを穏やかに見つめ、
誰にでも起こりうる日常の些事やちょっとした悲喜劇を、優しい
眼差しで取り上げた、ごくごく「小さな」物語の数々。大げさな
ストーリも声高な主張もないラヒリの静かな「小」説は、しみじみと
私たちに、生きるうえでの大切な何かを捧げ、提示してくれている
のだと思う。
ちょうど、耳をつんざく無配慮な大声よりも、か細くも真摯な
ささやきの方が、心によく届き理解されるのと同じように。
そしてまた、いろいろなことがあるにしても、「言葉を信じたい」
久しぶりにそんな気にさせてくれる貴重な一冊でした。おススメです!!
今週末は30キロ距離走と、ダブルス2時間の予定。あとWOWOWで
今週連夜特集していたエリック・ロメールの映画シリーズを観ます!
ではまた、おやすみなさいzz...
大雨になりそう。。
最近は日が沈むのもどんどん早くなっているし、朝晩はめっきり涼しく
なっていて、秋本番という感じがします。
過ごしやすい日が続いていたので、ジョグ距離も快調に目標のペースを
刻んでいますが、その順調なトレーニングのおかげで食欲もたくさん
あって、体重管理が思うように進んでいません・・。
今日はたまたま毎年恒例の人間ドッグ、注目の体脂肪率はどうかな~
と恐る恐る結果を見せてもらったら・・「19%」となっていました!
まずは大台の20を切って一安心ですが、このシーズンにあと2~3%
くらいは落としたいですね。。
先日ランニングクラブSWACの練習後、会員さん定例の飲み会に
お誘いいただき、多くのメンバーと初めてたくさん話ができました。
またクラブの比嘉コーチともしばらくお話させていただき、レース
でのペース配分だとか、ムリなく楽なフォーム作りなど、ランニング
の話は尽きないまますぐに時間切れとなってしまいとても残念。。
是非また次の機会にも聞かせてほしいです。
またこういった会合で各自それぞれの目標レースやタイム、悩み
などを話して教えあったり、全然関係のないバカ話で笑ったり
するのも、また明日から頑張ろうかな!と思えたりするので、
孤独で退屈になりがちなランニングですが、こういったことも
チームに所属して練習する大きなメリットの一つだと思います。
さて今週また面白い本を読みました!デビュー短編集「停電の
夜に」にてピューリツアー賞を拝したジュンパ・ラヒリの新作で、
短編集第二作となる「見知らぬ場所」です。インドベンガル地方の
出身でアメリカ国籍の女性作家なのですが、観察者としてあくまでも
静かな語り口に徹する作者の正確な筆致は、まるで早朝の波長の
長い太陽光のごとく私たちの心の深奥まで過不足なくきっちりと、
しかも温かく描き出すことに成功しています。
私たちの生きる世界は無限に広い反面、私たち自身の普段の生活は
一見地味で平凡な毎日がどこまでも続くように思えます。
はかない願望と落胆、希望的な信頼と思いがけない裏切が、
網目のように無数に交差する日々。
そういった普通の人々の、何の変哲もない暮らしを穏やかに見つめ、
誰にでも起こりうる日常の些事やちょっとした悲喜劇を、優しい
眼差しで取り上げた、ごくごく「小さな」物語の数々。大げさな
ストーリも声高な主張もないラヒリの静かな「小」説は、しみじみと
私たちに、生きるうえでの大切な何かを捧げ、提示してくれている
のだと思う。
ちょうど、耳をつんざく無配慮な大声よりも、か細くも真摯な
ささやきの方が、心によく届き理解されるのと同じように。
そしてまた、いろいろなことがあるにしても、「言葉を信じたい」
久しぶりにそんな気にさせてくれる貴重な一冊でした。おススメです!!
今週末は30キロ距離走と、ダブルス2時間の予定。あとWOWOWで
今週連夜特集していたエリック・ロメールの映画シリーズを観ます!
ではまた、おやすみなさいzz...
2008年09月12日
商い
こんばんは。ずいぶん涼しくなったかなーと思ったら、今日は一転
夏の陽気で暑かったですね~!しかし夜はすっかり過ごしやすくて、
走りこみには秋は最適な季節だそうです。
23日にハーフマラソン大会を控える私も、今日も会社から戻り、
少し前に実家から送ってもらった自家製の美味しいトマトを食べ、
いつもの河川敷で10Kジョグ。最初は抑え気味に入って、
後半上げるというペースがようやくできつつあります。
明日から2泊でクラブのランニング合宿もあり、行こうかどうしようか
最後まで迷ったのですが、葛飾のダブルス区民大会が日曜にあるので、
今回は不参加にしました。代わりにこの週末で目標60K走ろうと考えています。
最近は距離を重ねると必ず翌日右足首に痛みが出るので、練習後は
最低30分アイシングをしています。すると次の日がかなりラクで、
ケーキなどに入ってくる保冷材でもかなり効きますよ~と、クラブの
先輩からアドバイスいただいて試してみると本当にそうですね。
ヒザや左足底もやや痛む時があるので、あっちこっち冷やして
ラン後は大忙しです。
さて全米オープンはロジャーの見事な5連覇、GS通算13勝で
幕を閉じましたね!フェデラーファンとしては本当に最高!!の
大会となりました。マレーも準決勝ナダル戦ではとても強かった
ですが、対ロジャーではまだまだ勝負にならない感じがしました。
今年は昨年暮れから続いた体調不良⇒練習不足から調子をずいぶん
落としてしまいましたが、これで完全復活と言えるのではないで
しょうか。来年こそはGS最多勝に加えて全仏優勝で、名実ともに
史上最高選手となって、また秋にはジャパンオープンでその雄姿を
見せてもらいたいものです!
最後に今週読んだ本の中から、「宮内庁御用達」というタイトルの
新書を少しだけご案内しますね。
遠く奈良時代の昔から、こだわりある心づくしの良品が全国から
皇室に納められてきたのですが、長い歳月を生き抜いてきた
魅力あふれる品々や、それらを生み出し改良を重ねた職人たちの
想いや伝統の技が、ふんだんに紹介されていました。
そのうちの一店で、明治の時代に日本で初めてマスクメロンを
販売したことでも有名な、創業150年の老舗果物屋「万惣」さん
のエピソードを以下、抜粋したいと思います。
「万惣は東京神田のオフィス街のど真ん中にある果物屋である。
初めて立ち寄ると、こんなオフィス街で果物屋が成り立つのかと
訝しく思ってしまう。しかし、『万惣でなければ』というお客さんが
遠くから足を運んでくるから、オフィス街でも十分経営が成り立つ。
現在の万惣本社ビルは八階建てで、昭和四十二年に古い三階建て
ビルから建て替えたものである。一階は果物屋になっており、
新鮮な果物を買うことができる。万惣で扱われている果物は、
どれも本物の味と鮮度を持つとびきりの果物で、生産者と直に
話し合い、直接仕入れ厳選されたものだけを販売している。
その品の確かさが、多くの常連客を遠くから呼んでいるのである。
四代目店主青木惣太郎さんの笑顔は、今は亡き名優、宇野重吉さん
のようだ。相対する者の心を自然と和ませる優しさがにじみ出ている。
『万惣は、ゆきずりのお客様を相手にするというよりも、万惣を
目指して買いに来てくださるお客様を相手に商売してきました』
『商いとは、感動を売ることだ』
そんな言葉が、今も心に残っている。この『感動』にかかわる
お話として、万惣のよき理解者でもある森繁久弥さんとの思い出話は
印象的だった。
森繁さんが言うには、
『私は早稲田の商科を出たけれど、あまり勉強した記憶がありません。
ただ一つ、先生から教わったことで、頭にこびりついていることが
あります。それは、たとえば茶碗を売っている瀬戸物屋があった
とします。10円で仕入れて、20円の値で売れたときに、
10円儲かったというのは商売ではないと言われました。
お客さまが家に持ち帰り、お茶碗にご飯をよそって、なんて
持ちやすいんだろう。口あたりもいいし、いいお茶碗を買ったと
喜んでくれた時に、初めて10円儲かったのだということです』
惣太郎さんは、森繁さんが語ってくれたこの『喜び』こそが商いの
基本であり、『お客さまからの信頼なのだ』と思っているという」
鮫島 敦・松葉 仁「宮内庁御用達」NHK出版
もちろん「商売」はボランティアではないので、利益を出し続け
ないと立ち行かなくなるのは自明の理ですが、効率を追求すれば
するほどこの商いの基本たるお客さまの「喜び」や「信頼」に
ついてはどうしても見失いがちになりますよね。売った売れたと
自ら喜ぶよりもまず、お客さま(相手)が本当に喜んでくれたの
だろうか、と絶えず自問するようにしないと、と思いました。
さて明日はダブルス練習6時間のあと15Kジョグの予定。
私のガラスの脚が、少しは丈夫になっているか・・ちょっと心配
ですが。
ではまた良い週末を! おやすみなさい。
夏の陽気で暑かったですね~!しかし夜はすっかり過ごしやすくて、
走りこみには秋は最適な季節だそうです。
23日にハーフマラソン大会を控える私も、今日も会社から戻り、
少し前に実家から送ってもらった自家製の美味しいトマトを食べ、
いつもの河川敷で10Kジョグ。最初は抑え気味に入って、
後半上げるというペースがようやくできつつあります。
明日から2泊でクラブのランニング合宿もあり、行こうかどうしようか
最後まで迷ったのですが、葛飾のダブルス区民大会が日曜にあるので、
今回は不参加にしました。代わりにこの週末で目標60K走ろうと考えています。
最近は距離を重ねると必ず翌日右足首に痛みが出るので、練習後は
最低30分アイシングをしています。すると次の日がかなりラクで、
ケーキなどに入ってくる保冷材でもかなり効きますよ~と、クラブの
先輩からアドバイスいただいて試してみると本当にそうですね。
ヒザや左足底もやや痛む時があるので、あっちこっち冷やして
ラン後は大忙しです。
さて全米オープンはロジャーの見事な5連覇、GS通算13勝で
幕を閉じましたね!フェデラーファンとしては本当に最高!!の
大会となりました。マレーも準決勝ナダル戦ではとても強かった
ですが、対ロジャーではまだまだ勝負にならない感じがしました。
今年は昨年暮れから続いた体調不良⇒練習不足から調子をずいぶん
落としてしまいましたが、これで完全復活と言えるのではないで
しょうか。来年こそはGS最多勝に加えて全仏優勝で、名実ともに
史上最高選手となって、また秋にはジャパンオープンでその雄姿を
見せてもらいたいものです!
最後に今週読んだ本の中から、「宮内庁御用達」というタイトルの
新書を少しだけご案内しますね。
遠く奈良時代の昔から、こだわりある心づくしの良品が全国から
皇室に納められてきたのですが、長い歳月を生き抜いてきた
魅力あふれる品々や、それらを生み出し改良を重ねた職人たちの
想いや伝統の技が、ふんだんに紹介されていました。
そのうちの一店で、明治の時代に日本で初めてマスクメロンを
販売したことでも有名な、創業150年の老舗果物屋「万惣」さん
のエピソードを以下、抜粋したいと思います。
「万惣は東京神田のオフィス街のど真ん中にある果物屋である。
初めて立ち寄ると、こんなオフィス街で果物屋が成り立つのかと
訝しく思ってしまう。しかし、『万惣でなければ』というお客さんが
遠くから足を運んでくるから、オフィス街でも十分経営が成り立つ。
現在の万惣本社ビルは八階建てで、昭和四十二年に古い三階建て
ビルから建て替えたものである。一階は果物屋になっており、
新鮮な果物を買うことができる。万惣で扱われている果物は、
どれも本物の味と鮮度を持つとびきりの果物で、生産者と直に
話し合い、直接仕入れ厳選されたものだけを販売している。
その品の確かさが、多くの常連客を遠くから呼んでいるのである。
四代目店主青木惣太郎さんの笑顔は、今は亡き名優、宇野重吉さん
のようだ。相対する者の心を自然と和ませる優しさがにじみ出ている。
『万惣は、ゆきずりのお客様を相手にするというよりも、万惣を
目指して買いに来てくださるお客様を相手に商売してきました』
『商いとは、感動を売ることだ』
そんな言葉が、今も心に残っている。この『感動』にかかわる
お話として、万惣のよき理解者でもある森繁久弥さんとの思い出話は
印象的だった。
森繁さんが言うには、
『私は早稲田の商科を出たけれど、あまり勉強した記憶がありません。
ただ一つ、先生から教わったことで、頭にこびりついていることが
あります。それは、たとえば茶碗を売っている瀬戸物屋があった
とします。10円で仕入れて、20円の値で売れたときに、
10円儲かったというのは商売ではないと言われました。
お客さまが家に持ち帰り、お茶碗にご飯をよそって、なんて
持ちやすいんだろう。口あたりもいいし、いいお茶碗を買ったと
喜んでくれた時に、初めて10円儲かったのだということです』
惣太郎さんは、森繁さんが語ってくれたこの『喜び』こそが商いの
基本であり、『お客さまからの信頼なのだ』と思っているという」
鮫島 敦・松葉 仁「宮内庁御用達」NHK出版
もちろん「商売」はボランティアではないので、利益を出し続け
ないと立ち行かなくなるのは自明の理ですが、効率を追求すれば
するほどこの商いの基本たるお客さまの「喜び」や「信頼」に
ついてはどうしても見失いがちになりますよね。売った売れたと
自ら喜ぶよりもまず、お客さま(相手)が本当に喜んでくれたの
だろうか、と絶えず自問するようにしないと、と思いました。
さて明日はダブルス練習6時間のあと15Kジョグの予定。
私のガラスの脚が、少しは丈夫になっているか・・ちょっと心配
ですが。
ではまた良い週末を! おやすみなさい。
2008年09月05日
「待つ」ということ
こんばんは。今日は曇り空から時おり小雨が降り落ちる、湿っぽい
一日でした。夏も終わりつつありますが、太陽が出るとまだまだ
暑くて汗だくになってしまいます。夜も寝苦しい日もあって、
体調を崩しやすい時期かもしれませんね、気をつけましょう~。
今日は職場の飲み会があったため、ランニングは完全休養。
昨日走った後、古傷の右足首に少し痛みが出たので、ちょうど
良い休息になりました。今月から月250キロの目標で走りこむ
つもり、明日からまた積み重ねていきたいと思います。
さて全米もとうとう準決勝に進んできましたね。錦織くんが
フェレールにフルセットで勝ちベスト16まできたのも大きな
ニュースでした。月末の有明AIGオープンにも出場予定だそう
ですので、元気な姿をまた見せてほしいと思っています!
今週ある雑誌の書評から面白そうだと思って手に取ったのが、
臨床哲学者の鷲田清一さんが書いた「『待つ』ということ」
という本です。私は性格上せっかちで「待つ」ことがかなり苦手、
自分から迎えに行くほうが気楽なんですよね~。昔から、まんじり
ともせずじっくり待てる人はスゴイ!と思っていました。
この本を読み「待つ」という行為を改めて考え直してみると、、
私たちが成熟するために「待つ」ことはとても大切な要素なのでは
ないか、と思えたので、以下少しだけご紹介しますね。
「待つということにはどこか、年輪を重ねてようやく、といった
ところがありそうだ。痛い想いをいっぱいして、どうすることも
できなくて、時間が経つのをじっと息を殺して待って、じぶんを
空白にしてただ待って、そしてようやくそれをときには忘れることも
できるようになってはじめて、時が解決してくれたと言いうるような
ことも起こって、でもやはり思っていたようにはならなくて、
それであらためて、独りではとうにもならないことと思い定めて、
何かにとはなく祈りながら何事にも期待をかけないようにする、
そんな情けない癖もしっかりついて、でもじっと見るともなく
見つづけることだけは放棄しないで、そのうちじっと見ているだけの
じぶんが哀れになって、瞼を伏せて、やがてここにいるということ
じたいが苦痛になって、それでもじぶんの存在を消すことはできないで・・。
そんな想いを澱のようにため込むなかで、ひとはようやく『待つこと
なく待つ』という姿勢を身につけるのかもしれない。
年輪とはそういうことかとおもう。
意のままにならないもの、偶然に翻弄されるもの、じぶんを超えたもの、
じぶんの力ではどうにもならないもの、それに対してはただ受け身で
いるしかないもの、いたずらに動くことなくただそこにじっとして
いるしかないもの。そういうものにふれてしまい、それでも『期待』や
『希い』や『祈り』を込めなおし、幾度となくくりかえされるそれへの
断念のなかでもそれを手放すことなくいること、おそらくはそこに、
<待つ>ということがなりたつ。
(中略)
死の訪れを静かに待つひと、恋文の返事をじりじりと待つひと、バスの
到着をいまかいまかと待つひと、合格発表を心細く待つひと、故国へ
帰還する日を心待ちにするひと、刑期明けを指折り数えて待つ囚人、
犯行少年の更生をじっと見守るひと、一年間一日も欠かさず張り込みを
した刑事、ウエイター、棋士、釣り師といった文字どおり<待つ>を
仕事にするひと・・。そして、そのひとたちがたぶん例外なしにくぐり
抜けてきた<待つ>のさまざまな局面。待ちこがれ、待ちかまえ、
待ちわび、待ち遠しくて、待ち伏せ、待ちかね、待ちあぐね、待ち
くたびれて、ときに待ちきれなく、ときに待ち明かし、待ちつくし、
やがて待ちおおせぬまま・・。<待つ>のその時間に発酵した何か、
ついに待ちぼうけをくらうだけに終わっても、それによって待ちびとは、
<意味>を超えた場所に出る、その可能性に触れたはずだ。」
鷲田清一「『待つ』ということ」角川選書
期待や希い、祈りを込めながら、時が満ち、機が熟すのを「待つ」
というのは、実は比類なく豊潤な時間であるのかもしれない、と
思いました。ゆったりと焦らず、結果を急がずに楽しみつつ
『待つことなく待』てるようにいつかなりたいものですね。
それでは、もうすぐ週末ですね!おやすみなさいzz...
一日でした。夏も終わりつつありますが、太陽が出るとまだまだ
暑くて汗だくになってしまいます。夜も寝苦しい日もあって、
体調を崩しやすい時期かもしれませんね、気をつけましょう~。
今日は職場の飲み会があったため、ランニングは完全休養。
昨日走った後、古傷の右足首に少し痛みが出たので、ちょうど
良い休息になりました。今月から月250キロの目標で走りこむ
つもり、明日からまた積み重ねていきたいと思います。
さて全米もとうとう準決勝に進んできましたね。錦織くんが
フェレールにフルセットで勝ちベスト16まできたのも大きな
ニュースでした。月末の有明AIGオープンにも出場予定だそう
ですので、元気な姿をまた見せてほしいと思っています!
今週ある雑誌の書評から面白そうだと思って手に取ったのが、
臨床哲学者の鷲田清一さんが書いた「『待つ』ということ」
という本です。私は性格上せっかちで「待つ」ことがかなり苦手、
自分から迎えに行くほうが気楽なんですよね~。昔から、まんじり
ともせずじっくり待てる人はスゴイ!と思っていました。
この本を読み「待つ」という行為を改めて考え直してみると、、
私たちが成熟するために「待つ」ことはとても大切な要素なのでは
ないか、と思えたので、以下少しだけご紹介しますね。
「待つということにはどこか、年輪を重ねてようやく、といった
ところがありそうだ。痛い想いをいっぱいして、どうすることも
できなくて、時間が経つのをじっと息を殺して待って、じぶんを
空白にしてただ待って、そしてようやくそれをときには忘れることも
できるようになってはじめて、時が解決してくれたと言いうるような
ことも起こって、でもやはり思っていたようにはならなくて、
それであらためて、独りではとうにもならないことと思い定めて、
何かにとはなく祈りながら何事にも期待をかけないようにする、
そんな情けない癖もしっかりついて、でもじっと見るともなく
見つづけることだけは放棄しないで、そのうちじっと見ているだけの
じぶんが哀れになって、瞼を伏せて、やがてここにいるということ
じたいが苦痛になって、それでもじぶんの存在を消すことはできないで・・。
そんな想いを澱のようにため込むなかで、ひとはようやく『待つこと
なく待つ』という姿勢を身につけるのかもしれない。
年輪とはそういうことかとおもう。
意のままにならないもの、偶然に翻弄されるもの、じぶんを超えたもの、
じぶんの力ではどうにもならないもの、それに対してはただ受け身で
いるしかないもの、いたずらに動くことなくただそこにじっとして
いるしかないもの。そういうものにふれてしまい、それでも『期待』や
『希い』や『祈り』を込めなおし、幾度となくくりかえされるそれへの
断念のなかでもそれを手放すことなくいること、おそらくはそこに、
<待つ>ということがなりたつ。
(中略)
死の訪れを静かに待つひと、恋文の返事をじりじりと待つひと、バスの
到着をいまかいまかと待つひと、合格発表を心細く待つひと、故国へ
帰還する日を心待ちにするひと、刑期明けを指折り数えて待つ囚人、
犯行少年の更生をじっと見守るひと、一年間一日も欠かさず張り込みを
した刑事、ウエイター、棋士、釣り師といった文字どおり<待つ>を
仕事にするひと・・。そして、そのひとたちがたぶん例外なしにくぐり
抜けてきた<待つ>のさまざまな局面。待ちこがれ、待ちかまえ、
待ちわび、待ち遠しくて、待ち伏せ、待ちかね、待ちあぐね、待ち
くたびれて、ときに待ちきれなく、ときに待ち明かし、待ちつくし、
やがて待ちおおせぬまま・・。<待つ>のその時間に発酵した何か、
ついに待ちぼうけをくらうだけに終わっても、それによって待ちびとは、
<意味>を超えた場所に出る、その可能性に触れたはずだ。」
鷲田清一「『待つ』ということ」角川選書
期待や希い、祈りを込めながら、時が満ち、機が熟すのを「待つ」
というのは、実は比類なく豊潤な時間であるのかもしれない、と
思いました。ゆったりと焦らず、結果を急がずに楽しみつつ
『待つことなく待』てるようにいつかなりたいものですね。
それでは、もうすぐ週末ですね!おやすみなさいzz...