2007年10月31日
「リビアの小さな赤い実」
こんばんは。今日も過ごしやすく良いお天気でしたね~。
今日の午後、仕事で精神科のお医者さんを訪問したの
ですが、なんと今年の夏ロシアで強盗に襲われたという
話をお聞きし、その手口の乱暴さに驚きました。
何でも、極東地域ハバロフスクに政府の仕事で医療施設の
視察に行った際、レストランで助手の日本人学生と夕食を
取っていたところ、偶然近くにいた数名の現地ロシア人と
親しくなったそうです。友好の記念として、ロシア人の
アーミーナイフと学生の腕時計をそれぞれ交換してその場は
別れたそうですが、その後レストランを出たところで急に
そのロシア人たちに車で拉致され、パスポートや財布ほか
身ぐるみはがされ、抵抗したら乱暴されてひどいケガまで負って
しまわれたとのことです。
ロシアも近年貧富の差がどんどん激しくなっていて、治安が
ものすごく悪化しているらしく、特に日本人が狙われている
ようなので、みなさん十分に気をつけましょう。
そのあと夕方、歯医者さんでハロウィーンのかわいい現場を目撃!
仮装した小さい女の子が次々と受付に集まっては、
「とりっくおあとりーと ちょうだーい!!」と脅して(?)いました。
先生もその都度顔を出してお菓子を手渡したあと、
「食べたらちゃんと歯を磨くんだよ~」と伝えるのですが、、
(その言葉はあまり聞こえていないようです)
みんなとにかく嬉しそうな笑顔で満足そうに帰っていきましたよ~。
あと歯科助手の方たちも可愛らしいカチューシャなどをしたりして、
雰囲気を盛り上げていました。
あと先日、ある方からいただいたコメントを読んで
軽い気持ちで手にした一冊が、予想以上に読み応えが
あって面白かったのでご紹介しますね。アメリカ生まれの
リビア人作家で、現在はエジプトに亡命している
ヒシャーム・マタールさんの「リビアの小さな赤い実」
という本です。
原題は"In The Country Of Men"、まさにイスラム原理主義による
「男たちの国で」、ある一家の主人とその仲間が反体制派として
独裁政権に反旗を翻す顛末を、その主人の9歳の息子
スライマーンの視点によって語られる構成になっています。
また現実にもカダフィ大佐によって69年から続く独裁政権によって、
著者マタールの父も秘密警察によってエジプトで拉致・投獄され
消息を絶っているということからも、リビアの政治的状況としては
ノンフィクションと言えるかもしれません。
偉大なる「革命指導者」カダフィの政治に異を唱え、その欺瞞を
追及して体制側から追われる身となる少年スライマーンの父と、
夫の理想主義を心底嫌悪し、現実生活を家族を頑なに守ろうとする母。
そしてどこまでも青い地中海や真紅の夕日、白いトリポリの
歴史ある町並みなど、リビアのたぐい稀なる美しい風景を
見事に描く一方で、対照的に友人を裏切ったり父親の秘密を
暴いたり海に溺れる浮浪者をとっさに海に沈めようとしたり、
という少年の心の残酷で醜い部分をも丹念に描きだして
見せる作者の誠実さに心奪われてしまいます。
私が作中で最も印象に残った箇所はこちら。
のちに成人し薬剤師として働くようになった少年が、
喪失感や欠落感を胸に内省して語るところです。
「ぼくたちはなんとたやすく、軽々しく、架空の自分を
手に入れてしまうことだろう。そうすることで世間を
欺き、もし余計なことをせずにいたらなっていたはずの、
ほんとうの自分を欺いているのだ」
ヒシャーム・マタール著「リビアの小さな赤い実」ポプラ社
「ほんとうの」自分と「架空の」自分・・。
自身にしかわからない誤魔化しようのない思いは、一生涯
繰り返し自問自答していく以外に道はないのでしょうね。
こんなにも真剣で美しく思い出に残る作品を紹介して
くださったmaryさん、本当にありがとうございました。
それではまた、おやすみなさいzz...
今日の午後、仕事で精神科のお医者さんを訪問したの
ですが、なんと今年の夏ロシアで強盗に襲われたという
話をお聞きし、その手口の乱暴さに驚きました。
何でも、極東地域ハバロフスクに政府の仕事で医療施設の
視察に行った際、レストランで助手の日本人学生と夕食を
取っていたところ、偶然近くにいた数名の現地ロシア人と
親しくなったそうです。友好の記念として、ロシア人の
アーミーナイフと学生の腕時計をそれぞれ交換してその場は
別れたそうですが、その後レストランを出たところで急に
そのロシア人たちに車で拉致され、パスポートや財布ほか
身ぐるみはがされ、抵抗したら乱暴されてひどいケガまで負って
しまわれたとのことです。
ロシアも近年貧富の差がどんどん激しくなっていて、治安が
ものすごく悪化しているらしく、特に日本人が狙われている
ようなので、みなさん十分に気をつけましょう。
そのあと夕方、歯医者さんでハロウィーンのかわいい現場を目撃!
仮装した小さい女の子が次々と受付に集まっては、
「とりっくおあとりーと ちょうだーい!!」と脅して(?)いました。
先生もその都度顔を出してお菓子を手渡したあと、
「食べたらちゃんと歯を磨くんだよ~」と伝えるのですが、、
(その言葉はあまり聞こえていないようです)
みんなとにかく嬉しそうな笑顔で満足そうに帰っていきましたよ~。
あと歯科助手の方たちも可愛らしいカチューシャなどをしたりして、
雰囲気を盛り上げていました。
あと先日、ある方からいただいたコメントを読んで
軽い気持ちで手にした一冊が、予想以上に読み応えが
あって面白かったのでご紹介しますね。アメリカ生まれの
リビア人作家で、現在はエジプトに亡命している
ヒシャーム・マタールさんの「リビアの小さな赤い実」
という本です。
原題は"In The Country Of Men"、まさにイスラム原理主義による
「男たちの国で」、ある一家の主人とその仲間が反体制派として
独裁政権に反旗を翻す顛末を、その主人の9歳の息子
スライマーンの視点によって語られる構成になっています。
また現実にもカダフィ大佐によって69年から続く独裁政権によって、
著者マタールの父も秘密警察によってエジプトで拉致・投獄され
消息を絶っているということからも、リビアの政治的状況としては
ノンフィクションと言えるかもしれません。
偉大なる「革命指導者」カダフィの政治に異を唱え、その欺瞞を
追及して体制側から追われる身となる少年スライマーンの父と、
夫の理想主義を心底嫌悪し、現実生活を家族を頑なに守ろうとする母。
そしてどこまでも青い地中海や真紅の夕日、白いトリポリの
歴史ある町並みなど、リビアのたぐい稀なる美しい風景を
見事に描く一方で、対照的に友人を裏切ったり父親の秘密を
暴いたり海に溺れる浮浪者をとっさに海に沈めようとしたり、
という少年の心の残酷で醜い部分をも丹念に描きだして
見せる作者の誠実さに心奪われてしまいます。
私が作中で最も印象に残った箇所はこちら。
のちに成人し薬剤師として働くようになった少年が、
喪失感や欠落感を胸に内省して語るところです。
「ぼくたちはなんとたやすく、軽々しく、架空の自分を
手に入れてしまうことだろう。そうすることで世間を
欺き、もし余計なことをせずにいたらなっていたはずの、
ほんとうの自分を欺いているのだ」
ヒシャーム・マタール著「リビアの小さな赤い実」ポプラ社
「ほんとうの」自分と「架空の」自分・・。
自身にしかわからない誤魔化しようのない思いは、一生涯
繰り返し自問自答していく以外に道はないのでしょうね。
こんなにも真剣で美しく思い出に残る作品を紹介して
くださったmaryさん、本当にありがとうございました。
それではまた、おやすみなさいzz...
なんとなく気に入ってもらえそうな感じがしました。これを読了したとたんに ここに出会えたのはうれしい偶然です。
人は生きている場所によって生活はさまざまに違う、でも、人としての本質は結構同じかもしれない、と思わせてくれます。
紹介もしてくださってありがとうございました。
そうですね、生まれ育ちの違いから私たちの人生の
様相は本当に色々ですけど、それでも共感できたり
頷けたりする要素は、いくつも見出せますものね。
また気になった本を教えてください!では~